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鈴鹿2010 キムヒデのNuna5レポート

2010/07/30 21:00

7月30日の車検の日に、オランダのNuna5に注目して突撃取材を敢行しました。

サッカーのワールドカップでオレンジ軍団といえばオランダ。今年の鈴鹿サーキットにも、ソーラーカー界のオレンジ軍団"Nuon Solar Team"がやってきた。Nuon Solar Teamはデルフト工科大学のメンバーが中心となったソーラーカーチーム。オランダのエネルギー会社のNuon社がメインスポンサーとなっている。2001年〜2007年にかけて、オーストラリア大陸3,000kmを縦断する世界最高峰のソーラーカーレース"World Solar Challenge"で4連覇を達成するなど、まさに世界最強レベル。このNuon Solar Teamのソーラーカーの最新モデルがNuna5である。このNuna5は、2009年のGlobal Green Challengeのソーラーカー部門World Solar Chalenge(以下、WSC)で5連覇を狙っていたが、発電制御回路の故障などもあり、惜しくも2位に。このときは、日本の東海大学が製作したソーラーカーTokai Challengerが優勝しました。
 
それから1年後、鈴鹿サーキットにオランダのNuna5がやってきました。ほとんどのレースが海外遠征となる彼らは専用コンテナを用意するなどロジスティクスは万全。さらに、デザインに強いデルフト工科大学の強みを生かして、専用テント、専用フラッグ、専用パネルなどを用意しています。さらに強いのが広報。オランダ領事館の強力なバックアップもあって、京都の祇園でソーラーカーの走行や展示なども行っている。今回も、カメラやビデオでの収録に余念がない。

 
車検でまず気になったのが、ボディのカラーリング。最初はアジアンテイストの図柄のようにも見えましたが、オランダの伝統工芸「デルフト陶器」をイメージしたものだそうだ。オランダのデルフト焼は海洋貿易時代に中国や日本から伝わった技術が応用されているようです。しかし、ボディの曲面にこのようなプリントパターンを貼り付けることができるなんてすごい。

 

それでは、車体内部の特徴を紹介しよう。タイヤはミシュランが開発した新型ラジアルタイヤを採用。転がり抵抗の低さには定評があったが、従来製品はハードなコーナリングシチュエーションを苦手としいた。オーストラリアのオーロラや、大阪産業大学は今回もダンロップタイヤを選択する模様。リム幅が新型ミシュランラジアルに合わせているために、そもそもダンロップタイヤは選択肢に入らないという事情もあるようだ。オランダのサーキットでテストして問題がないということで、ミシュランラジアルの採用を決定。今回はひさしぶりに鈴鹿サーキットでミシュランラジアルタイヤの走行が見られることになる。気になる点としては、フロント2輪は比較的タイヤ交換が容易だが、リヤタイヤはCSIROモータであるため、モータごとの交換となってしまう。今日行われていたピット前でのタイヤ交換練習は、フロントタイヤのみの交換であったため、リヤタイヤ交換を行わなくてはならない事態が発生すると作業時間が取られて致命傷になるだろう。

太陽電池はセル効率34%を誇る世界トップレベルのものを使用。なんと驚くべきことに、透明の梱包用テープをモジュールに貼り付けて、引きはがすことで反射防止のためにテクスチャー処理されたモジュールの汚れを取り除いた。作業を横で見ているとか割れてしまわないかとかなりドキドキ。


 

WSCの舞台であるオーストラリア、スチュワートハイウェイは、ほとんどが平坦な直線であるが、世界屈指のチャレンジングなコースと呼ばれる鈴鹿サーキットでは、タイヤのグリップ力の限界でのコーナリングが要求されるため、リヤアームをねじろうとする力が非常に強く作用する。昨年のWSCでのNuna5のリヤスイングアームは、直径45〜50mm程度のカーボン製丸パイプ1本で構成され、非常にシンプルで華奢だったが、鈴鹿用にリヤスイングアームを作り直してきた。新しいリヤスイングアームは幅60〜70mm、高さ100mm程度のかなりしっかりしたもので、アルミの削り足し一体で製作されている。一見、非常に重そうに見えるが、実は中身はくり抜いてあって、下側からプレートを接着して中空構造になっており、軽量に仕上がっているようだ。写真右の茶色部分がプレートの接着部分。


ドライバーはNuonチームのエースドライバーJan William van Gent(ジャン・ウイリアム・ヴァン・ジェント)と2007年のドイツF3、2008年の全日本F3のシリーズチャンピオンCarlo van Dam(カルロ・ヴァン・ダム)。彼らは、ソーラーカーのサーキットのドライビングテクニックが融合して、新たな力を引き出すことができると考えている。

なお、再戦が期待されていた東海大学は、9月に開催されるSouth African Solar Challengeに出場するため、本大会には参加していない。(k)


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