Zero to Darwin Project
NEWS
ZDP SHOP
パーツ販売
Wiki
BBS/LINK/EVENT
メーリングリスト
SOLAR-PAL
ZDPの歴史

キムヒデの2005 Wold EV Challenge in SUGOレポート 2005/09/26 01:00

27周の大記録達成
年々記録が伸びている菅生サーキットでのEVエコランレース.昨年の大会はZDPのモスラが24周をクリアして優勝している.ことしは,first step AISIN AWのつばさ52号が,一気に3周増やして27周の大記録を達成した.また,ZDPのモスラも26周を達成し好記録をたたき出している.さらに,スーパーエナジーのGRIFFONが25周,ヨイショット!ミツバのTesla 800が24周するなど,上位陣は2004年の記録を軒並み更新する勢いであった.今回のレポートでは,いったいどんなテクニックが用いられたのか解説しよう!!

最初に,下図に車体質量に対する周回数を示す.上位陣,中位陣ともになんとなくではあるが,車体質量が軽い方が好成績に結びついているように感じる.こうして見るとモスラは重たい割には健闘してしていることがわかる.また,120kgを超えて18周も超えているチームはNEO EVERなのであるが,こちらも重たい割には健闘しているチームであるといえる.

以上のように,車体質量と記録の間には相関関係があるといえる.繰り返しになるが,おなじみの自動車の4大抵抗成分(転がり抵抗+空気抵抗+勾配抵抗+加速抵抗)を以下に示す.

D= μmg+ CDAρv^2 /2 +mg sinθ+ma (N)

車体質量mは転がり抵抗,勾配抵抗,加速抵抗に関わる重要なパラメータである.豊田や秋田など「平地」を「巡航」するタイプのレースでは,勾配抵抗や加速抵抗の影響が少なく,転がり抵抗を中心に考える.これが菅生や幸田そしてNATSサーキットのようになると無視できなくなるため,車体質量の影響は大きくレース結果に反映されるのである.反対に,質量とレース結果の間に相関関係が出ないうちはレースの技術レベルが低いといえるのである.

ここで,車体質量が94kgであったZDPのモスラの走行シミュレーション結果を示す.このシミュレーションは後出しなのであるが,だいたい実車の走行状態に近づけてある.このシミュレーション結果によると2時間で26.4周(キャパシタを使い切る分は含めず)程度は走行できることがわかる.

次に,同一条件のままで車体質量だけを-15kgした79kgとして再計算させたシミュレーション結果を示す.この計算によると,平均速度が3km/h上昇し,総走行距離が約6kmほど伸びることがわかる.その結果,約1周半ほど記録が伸び,28周にぎりぎり届くような計算結果になる.

したがって,今回のfirst step AISIN AWのつばさ52号とZDPのモスラの勝敗を一番大きく分けたのはドライバー体重であったと考えらる.つばさ52号を運転したみなちゃんは,ダイエットにダイエットを重ね,相当軽量化のためにに努力していたようです.豊田大会の時に池上さんが,「ポテトフライあるけど食べる?」と振っても,「いえ今はいいです.」と辞退しているので,相当な決意があったと思われます.詳細は不明ですがおそらく40kgを切るのではないかと推測さます.一方,きっくう(菊田剛広)の方ですが体重は約50kg程度が限界のようです.体重で10kgちょっとの差は,転がり抵抗だけでなく,勾配抵抗や加速抵抗に反映され,結果としてモータ出力,キャパシタ容量などにも影響します.そうなると,車体の装備品の方も重くなり・・・という悪循環に陥ります.

 

そういう意味では,エコランドライバーとしては大型なミツバのTesla 800ドライバー柳原さんも,重い割には好成績を出しているといえます.今回,Hyper USO800の方は,コントローラ系のトラブル??とも言われていますが,25周は確実にねらえたようそうです.

SUGO用モータの最新動向
それでは,菅生サーキットを走るためのモータたちを紹介しよう!! 左側はまずは優勝したつばさ52号のモータ.特殊電装のアモルファスコアDCブラシレスモータが3機搭載されている.ギヤ減速でタイヤにトルクが伝えられる.今回は,ギヤ比を軽くするなどで,少しでも高効率に運転できるようセッティングを変えてているそうだ.また,バッテリから浪越コントローラを経由してキャパシタに降圧して電流が流れるが,その際のDUTY比を高くとりPWM100%での駆動時間を長くしたり,間欠的に充電を行うなどかなり複雑な操作をドライバーに要求していたようだ.ドライバーのみなちゃんの腕にはカンペが貼り付けられていた.定電流放電方式の次の技術として緩急をつけた放電方式が台頭する可能性がある.右側は,今回惜しくも2位となったZDPモスラのアモルファスコアDDモータ.大きな変更点は無いが,配線の見直しや計器の変更など細かな改良が行われていた.今回は豊田でのレースの翌週に菅生大会が開催されたこともあり,時間的な制約からスーパーモスラの投入が断念されたようだが,来年あたりは記録向上をねらって登場するかもしれない.

 

続いて,スーパーエナジーGRIFFONのDDモータ.たぶんアモルファスではないかと思われます.今回は菅生専用になった.噂ではOSUという文字があったとか無かったとか? とにかく外観はOSUのソーラーカー用モータにそっくりである.スーパーエナジーはNATSサーキットでの菅生を想定した走り込みなどを重ね,相当な意気込みで参加してきた.さらに,安藤さんによると,今回はIRCの14インチタイヤの新作が持ち込まれ,肉厚を薄くするなどでさらなる転がり抵抗低減を狙った仕様が出てきたようである.

 

一方,好記録が期待されたヨイショット!ミツバのHyper USO800もたぶんアモルファスでしょう.スーパーエナジーと同様に14インチの小径を生かしたDDモータで小型軽量に仕上げられているようです.そして,念押しをするようにフロントにはミシュラン社の新ロットのラジアルタイヤが装着されていました.

 

さらに電気二重層キャパシタは日本ケミコン社のDLCAP角形品の2.5V-1000F品が搭載されていました.円筒型のものよりも容量が大きく,内部抵抗が小さいのが特長です.投入された品々はどれもが一級品.来年も期待できそうです.内山さんが手にしているのはTesla 800に搭載された14インチタイヤ用DDモータの同一品.この菅生用モータは,なんと市販化の予定があるそうです.20インチタイヤ用も検討してもらえるそうなので,もしかすると登場するかも?!

 

最後のモータは今回走ることができなかった東京工業大Meisterのコアレスモータ.完成前にレースが終わってしまいました,そういえば2002年の籾井君もこんな感じだったなぁ・・・.ちょっとどうなるかは予想できませんが,来年にはきちんと完成させてください.

来年はいったいどうなる?
もう無理と思われながら,毎年のように記録が向上していくEVエコラン業界.とくに菅生の記録向上ペースは尋常ではありません.下図は第1回大会からの菅生大会における優勝記録の変遷です.(すいません96年の優勝車がSE IVだっったかどうか不明です.)1998年は台風による大雨で中止なったり,逆回りから順回りになって電池がFPX1275に変わったり・・・と振り返ればいろいろな思い出ばかりです.それにしてもまぁ,99年以降はものすごいペースで記録が伸びていますねぇ.単純に見ると来年の優勝ラインは30周程度に見えます.そこまでは行かないまでも,27周をクリアできなければ表彰台も無いかもしれません.いやぁ,恐ろしい限りです.楽しいけど,憂鬱です.(k)

▲TOPへ戻る


Copyright © 1995-2005 Zero to Darwin Project All rights reserved.
当サイトに含まれる画像・PDF等の無断転用を禁止します.
当サイトに関するお問い合わせはこちらから。