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キムヒデの2006WEM秋田レポート 2006/05/26 23:00

やぁ!!みんな元気かい?
昨シーズンから、しばらく間があったので、ひさびさの登場です。2006年のWEM GPの第2戦となる、秋田大会が5月4,5日に大潟村ソーラースポーツラインで今年も開催されました。今回で12回目となる大会は、いったいどんなことになるやら?! 熱い期待が高まります。

燃料電池部門
まず、燃料電池部門から紹介しよう。昨年優勝したNEO EVERのAquaがエントリーしていないことから、優勝候補と目されたのは、ご存知、ヨイショット!ミツバのTesla 800。昨年はNEO EVERと接戦の末敗れたものの、52周という記録を達成している。前回の勝敗を分けたと考えられているのは、燃料電池のパラ積み。内部抵抗の高い燃料電池を贅沢に2台使用することで、1台あたりの出力電流を抑えている。その結果、内部抵抗による電圧ドロップが減り、出力電圧が高くなる。燃料電池の原理上は、電流は水素原子の消費量に比例するので変わらないとすると、出力電圧が上がった分は電力(エネルギー)的に得できる可能性がある。ただし、燃料電池ユニット自身の重さも2倍になり、冷却ファンなどの補器類の電力消費も増えることになるので、そんなにいいことばかりでもない。それにしても、NEO EVERの勝ち逃げはよくないんじゃないかなぁ・・・。今年も出て欲しかったなぁ。

 

早稲田大学永田研究室のZephranthesも、燃料電池を2台搭載してきた。よく見ると送風ファンもオリジナルのものから大型のものに変更されているように見える。配線もごちゃごちゃしてよくわからないが、DC/DCコンバータなどいろいろなものが付いているようだ。

ミツバさんに続けとばかりに、密かに表彰台を狙っていたのは今年からチーム名を変えた東海大学チャレンジセンターのファラデーマジック。去年は初参戦で総合6位だったので、なんとか表彰台には乗りたいところ。ファラデーマジックの車体性能は、2003 WEMで3位という実力だけに、運がよければそこそこは狙えるんじゃないか?と考えていた。

しかし、高床のコンセプトで室内高が低く、全長も短めにしていることから、燃料電池ユニットを2台載せるスペースが無い。そもそも、そんなにお金がない。ということで、燃料電池ユニットの出力インピーダンスの高さを、大きく緩和するために日本ケミコン製の角形電気二重層キャパシタ(2.5V-1000F)を6直列接続したものを搭載した。(2005年のファラデーマジック2やCG号に搭載したもの)

また、2月に行われた電気自動車・燃料電池車・ソーラーカー製作講習会で、ミツバの溝手さんが紹介していた、水素ガスの加湿も行ってみた。これは、旭硝子エンジニアリングが商品化している、サンセップIIIというもので、本来はコンプレッサで圧縮したガスの除湿を目的としたもの(下写真右の白い筒)。これを逆に使い、水素ガスを加湿している。中には、中空糸膜が入っていて、この中空糸膜は水蒸気のみをよく通す性質のものとなっている。テフロンベースの交換膜であり、燃料電池イオン交換膜のナフィオンに近い組成となっている。確かに水が無くなっていたので、水素ガスが加湿されたと思われる。

検証したわけではないが、ドライアウトを防ぎ、もしドライアウト気味な状態であっても加湿により、内部抵抗が下げられる可能性がある。効果については正直なところよくわからないが、将来が楽しみなアイテムである。公式練習ではファラデーマジックは昨年のTesla 800の52周という周回数にならび、距離ではわずかに上回る記録を出し、1位になった。来年こそ表彰台を狙えるんじゃないだろうか?

 

次に目を引いたのは、日産ディーゼルが開発した電気二重層キャパシタを搭載した、同社社員チームのオズの魔法使い「アドブル〜」。日産ディーゼルといえば、キャパシタハイブリッドトラックが有名である。このトラックで会場入りしていた模様。車体はTGMYのボディ形状と同じであることから、シモン製ではないかと思われる。

 

大雨に襲われた本戦を制したのは業界古豪チームである中日本自動車短大のマンボースマッシュ。 ミツバや東海大と同じく、水素加湿を行っていた模様。記録は44周。ミツバや東海大が崩れるサバイバル戦を制した。2位は36周を走った金匠プリンのあ・ら・もーど E02/FC仕様。雨の中、運転ご苦労様でした。

 

 

鉛蓄電池部門
今年の注目ポイントは、昨年から開花しつつあるIRCの14インチタイヤとそれを搭載したチームの動向である。しかし、BIZONのGILLESO VIは途中でストップ。 GILLESO VIの形状は、丸い断面を意識し、あまり高さを攻めないという感じで、コンセプトとしては14インチ版のファラデーマジック2に近い印象を持つ。リアタイヤ回りは、カウルも足回りも脱着が可能で、持ち運びにかなり便利な省スペース性も実現しています。これならば、シートをいくつもつぶさなくて済みそうです。個人参加チームにはよい参考になりそうです。同じく神奈川連合のうにゃにゃん亀吉のエコノ亀吉3号もレース開始早々にパンクしてリタイヤ。

 

今年のニューフェイスとしては、まず赤羽先生率いる今市工業港のNewトキ。プラダン車体を走らせたらピカイチの同校でしたが、いよいよカーボンに進出しました。ちなみに今市市は市町村合併で日光市に。今市はイマイチだったのか・・・。エンドレスは朝霞と栃木の混成チームで参戦。新車が間に合いました。フロントはTGMYの14インチタイヤ、リアはミシュラン20インチ。それにしても14インチタイヤを採用した新型車が目立ちますね。

 

2005 WEMでは2位のヨイショット!ミツバのHyper USO 800。残念ながらGRIFFONと同型の新型ボディは間に合いませんでした。モータはいつでもGRIFFONに移植可能な14インチ仕様。GRIFFONと同じく、コアの半抜き機構も付いている。ミツバ関係者の話では、Hyper USO 800では、今回の結果が限界だそうです。おそらく、年内にGRIFFONと同型の新型車を完成させ、WEM GP戦に投入してくるものと予想される。

 

必ず優勝争いに絡んでくると思われたSUPER ENERGYのGRIFFON。レース後半での巻き返しに期待が持たれていたが、iMac 2006と接触しクラッシュ。あくまでも憶測であるが、場所はピットエリアを抜けて長い直線に入る手前の右カーブであり、iMac 2006がGRIFFONの左フロントタイヤの死界に入り、ドライバーが認識できなかったのかもしれない。また、悪天候であったことから視界不良となることもあり、これがクラッシュの原因の一つになったかもしれない。

 

このクラッシュで、クラブ創設68年を誇る大阪府立今宮工業・工科高等学校自動車部のiMac 2006は、GRIFFONにコース外に押し出されて転倒。写真は転倒直後のもので、まだドライバーが車内に残されている。不幸中の幸いといえそうなのは、大きな20インチタイヤがロールバー代わりに働き、ドライバーには大きな負担がかからなくて済んだのではないだろうか? 前半好調な走りを見せたPROJECT MONOの新型車MONO-Xは2周目に右フロントタイヤのパンクでリタイヤ。

 

3連覇を達成したファラデーマジック2の今回の目玉は、チェーンドライブからギヤドライブへの変更である。効果のほどは未知数であるが、少なくともタイヤを回しながらでの無負荷電流の低下と騒音レベルの減少は確認できている。なお、信頼性等の面での不安を払拭するために、砂埃がギヤに付着しにくいように、ギヤカバーを装着している。ギヤ手配ではZDPの池田さんにご苦労をおかけしました。ありがとうございました。これ以外にも、昨年から搭載している遅角回生機能は健在で、キャパシタについては小型化した2.5V-800F(日本ケミコン特注品)を搭載している。これ以外にもモータの改良を試みたが、今回は間に合わず。今後の登場を待つことになった。

 

3連覇を達成して喜ぶ、木村先生と菊田氏。「努力はしたけど運もいいのかも!?」とサバイバル戦を振り返る。しかし、悪天候で路面の転がり抵抗が悪化したことから、記録は80kmに届かず。記録更新は来年以降に持ち越された。スーパーモスラでは、籾井君も怪しげな新作DDモータを持ち込んでいたが、今回は不発。今後の仕上がりが待たれる。

 

大会の模様は次号カーグラフィック(CG)誌でも、報道される予定です。ぜひ読んでください。(k)

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