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 BackNumber〜2014鈴鹿2

鈴鹿2014 キムヒデ車検レポート 2014/08/01 20:00

いやぁ、みんな元気かい?
2年ぶりに鈴鹿に来てみたけど、台風が送り込んでくる南風のせいで、今年は湿度が高くて蒸し暑いね。でも、今日の鈴鹿でアツイのは気温じゃなくて、世界で最も参加台数の多いこの大会に集まった様々なソーラーカーたちなのだ。それでは、さっそく突撃だ!


さっそく歩き始めると(気分は「世界ふれあい街歩き」のBGM付きで)、業界の重鎮たちが朝のミーティングをやっているではないです? ソーラーカーレースの方向性についてチームの枠を越えて意見や情報を交換しているんですね。私も加わらねば・・・。2014年のレギュレーション変更ではフロントロールバーの規制強化に苦慮したチームが多かったようです。


 

そんなところに、移動してきたのは車検を受けるJTEKT SOLAR CAR TEAM。ジェイテクトは、ソーラーカー業界において、低転がり抵抗なセラミックボールベアリングの技術を持っている企業。フロントロールバーあれっ?、太陽電池が変わっているではないか?
これは、ソーラーカーパーツなどを取り扱う野村商会のSunPowerモジュールですね。ちょっとセル間ギャップ(=太陽電池セルと太陽電池セルの隙間)が広めですが、高性能太陽電池モジュールにしては低価格だといわれています。これで、太陽電池出力がアップですね。「晴れてくれないと困る」という正しいコメント。


 

次に目に付いたのは、東海大学ソーラーカーチームのOBたちが集まった、TEAM THOUSAND。長野県の標高1000mの場所が活動拠点だ。しかし、このチームは超低予算チームで、太陽電池の使い回し方が半端ないです。2013年に細い低重心のボディへ変更。たとえ太陽電池の発電量を減らしてでも、空気抵抗の低減を狙っています。その結果、ソーラーカーレースでありながら、曇天や悪天候を願うパンダサンのDNAです。あれ?そういえば、今年はパンダサンのエントリーが無い!細川信明さんは今年はTEAM THOUSANDのピット責任者になっていました。 キャノピーの周りには、1990年のほくさん製太陽電池が貼られている。24年前の太陽電池ですが、まだまだ発電できるとのこと。その周りにはシャープ製の太陽電池モジュールも貼られていて、「まるで太陽電池の歴史博物館やぁー」(彦麻呂風)


 

さて、お次は千葉黎明高等学校。細っ!太陽電池モジュールはKIS社のFT132S-Eが4枚なので、約160Wの出力しかない。ソーラーカーレース鈴鹿のENJOYクラスは480Wまでなので、3分の1の量。フロントタイヤカバーの後ろ側にバッテリーを落とし込むように格納して低重心化しているが、それでもコーナーリング中にインリフトして、最悪の場合コースアウトしてしまうだろう。これと関係あるかどうかはわからないが、昨年はガードレールにぶつかったらしい。
「うちのドライバーたちは、インリフトを楽しんでいるんですよ」と石井弘先生。富永優作君と中村晟君がドライバーを務めます。こちらも、チームも曇天希望組。


 

こちらでは、大阪工業大学が車検を受けています。4輪のOLYMPIAクラスにエントリー。あれっ?サスペンションの構造が変わっていぞ?! 細いパイプor丸棒、たぶんパイプ? 2本のパイプが横に並んでいます。普通は太いのが1本でいいんですが、細いのが2本だと良いことあるのかな?チームメンバーにインタビューすると「サスペンションの高さを抑えることと、前後方向の力に対応できるように考えると横並び2本になりました。以前にカーボンパイプで作ろうとしたら、ZDPの池上さんに絶対に壊れるからやめておけと言われて、ステンレスパイプにしたんです」とのこと。でも、これ溶接でなく接着剤で付いている。いちおう、抜け止めのピンが入っているようですが、接着をよっぽどうまくやらないと抜けてしまいそう?良い接着剤だったらもつのかな? 一応、前大会では大丈夫だったようです。


 

なんか、超改造したような車があるぞ。OLYMPIAクラスだ。こちらは、呉港高等学校エコテックのKAITON IIだ。ロワーパネルは三菱マテリアルのチャレンジャーのものを再利用しているため、フロントタイヤよりも前にタイヤハウス跡が残っているのだ。ところで「何でダンロップでなくシュワルベなんですか?」と質問すると、「野村商会が大量にダンロップの16インチタイヤを購入したため、在庫が無くて買えなかった」とのこと。アメリカン・ソーラー・チャレンジやトルコのフォーミュラGの参加チームから、注文が入ったらしいです。


 

アッパーの太陽電池は、2013年のWorld Solar ChallengeのCruiserクラスに出場したKAITON IIから移植したもの。ゴッヘルマン社がSunPower社太陽電池セルモジューリングしたもの。全く同じ名前の車だが、全く違う形のソーラーカーに変化した。


 

おっ、これは新しい!立命館大学EV-Racingの新車Rits-2014だ!ENJOYクラスで連覇を続けている平塚工科高等学校のマシーンのコンセプトを受け、ボディをスリムにしたモデル。エコノムーブの近年のTTDC PROJECT NONOのとんがったマシーンを連想させる。低重心化しているため、コーナーリング性能も確保されているはず。あれっ!キャパシタも大量に搭載している! 鉛バッテリーとキャパシタは切り替えて使う予定で、キャパシタは太陽光発電や回生ブレーキでチャージし、バッテリー電圧よりも高めにしておくのだそうだ。バッテリー電圧では速度が足りない区間(バックストレートなど)では、モーターをキャパシタに接続して、スピードを上げるのが狙いだそうだ。ただし、操作が複雑でドライバーには不評なシステムなのだそうだ。

よく見ると、フロントサスペンションも何か変だぞ?仮想リンクという機構のようです。それにしても、サスアームの角度がかなり開いているなぁ。ブレーキをかけるなど前後方向の力には強そうですが、コーナーリングなど横方向の力が加わったときは、ガタがでるかもしれない。また、サスアームに付いているロットエンドを固定するネジがクロモリだけど、相場よりもちょっと細い様な気がする。大丈夫なのかな?


 

今度は、芦屋大学のピットに行ってみよう。ピットの前にエアツール用のホースタワーが立っている。しかし、レース用タイヤには乾燥した窒素ガスを入れるのが一般的だが、よく見ると、「アタックガス」と書いてあるではないか? もしかして、フリー走行中に行われるタイムアタックのための専用ガスでもあるのか? でも、アルゴン+炭酸ガスと書いてある。空気の中には78%の窒素ガスと、20%の酸素ガスがあって、その次にアルゴンガスと二酸化炭素がある。確かに、横浜ゴムと岩谷産業は窒素ガスよりも、さらに漏れにくいMIX-GTガスを開発し、窒素とアルゴンが配合されると窒素ガス単体よりも漏れにくくなったという記事がある。と、頭を悩ませていたのであったが、結局のところ窒素ガスのボンベが期限切れで返却しなくてはならず、溶接用のシールドガスをタワーのおもりとして持ってきただけの話でした。紛らわしい。実に紛らわしい。


 

そうしているうちにSkyAce TIGAの屋根を見ると、SunPowerモジュールが新調されているではないか!しかも、セル間ギャップはがんばって詰めています。たぶんあれだな。QUADには、SunPowerのカットセルをモジューリングしたものが貼られていましたが、こちらは詰めすぎで、太陽電池が内部ショートして焦げていました。


 

開発品もテストされるのがレース。紀北工業高校はミツバの次期市販用コントローラのプロトタイプを搭載している模様。詳細は不明だが、内部的にはパワーモジュールや通信制御などがリニューアルされるのではないかと思われる。紀北工業高校はフロントロールバーも装着しましたが、その結果ハンドルに付いていたスイッチが目視できなくなり、手探り状態で操作することになったようです。紀北のスーパードライバー=中岡先生であれば、全く問題無く操作できるそうです。


 

さらに、最近では当たり前になってきた、バッテリーの加温充電。薮下先生自ら作業に入っていました。一方、車検会場で気になったものとして、香川高専の車体があります。再輝のU-1のフレームとサスペンション構造と同じ発想で作成された、アルミ角パイプフレームとリン青銅でできた板バネです。ショックアブソーバーが無いため多少振動が続く傾向はありますが、設計通りに動くとのこと。


最後に、柏会の松山氏が開発中のKW-BBMPPTを紹介します。従来の昇圧型MPPTであるKW-MPPTに対して、Buck-Boostの両方で動作することを狙っているもので、昇降圧比を1に近いところで使用できるそうです。入力電圧は8V〜80Vと広い。本当であればレースに間に合わせたかったところですが、今回は時間切れ。完成次第ZDPサイトなどでアナウンスされることでしょう。


今回は、ディープかつボリュームたっぷりの内容だったけど、みんな楽しんでくれたかな?
僕は楽しかったよ!
それじゃあ、また会える日まで、アディオース!(k)


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