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 WSC2015


 WSC2015 大会事前情報 2015/09/16 22:00

オーストラリア大陸を北から南へ貫くスチュアートハイウェイ3000kmで競われるソーラーカーレス:ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ2015開催まで、残り1ヶ月。13回目の開催となる今年の大会には、25の国と地域より46チームが参戦する予定だ。


その中でも最も競技性が高く、太陽からのエネルギーのみで3000kmを走り抜くチャレンジャークラスには、30チームがエントリーしている。前大会より4輪が義務づけられた本クラスのレギュレーションは今回、車体寸法やセルの面積(シリコン系の場合6平米)、バッテリー搭載量(リチウム・イオン電池の場合20kg)は、前大会とほぼ変更無いが、停車充電時の最大寸法が長さ4.5m、幅1.8m、高さ2.2mを超えない範囲に制限された事により、前回物議を醸した、集光面積を車体面積よりも大幅に増やしたタイプの集光器が事実上禁止に(集光器の使用自体は許可されている)。ソーラーカーに搭載されない三脚や充電ケーブルの使用も禁止された。また、前方の視界制限が緩和されたことにより、キャノピーを、2013年よりも小さく、かつ車体後方へ配置することができるようになった。

東海大学チャレンジセンター/Tokai Challenger (2015年型)

前大会でオランダNuon Solar Teamに3連覇を阻止され、本大会で優勝トロフィー奪還を目指す東海大学ソーラーカーチームは、多少の重量増を犠牲に、ボディ厚を2013年型の309mmから194mmに薄型化。サスペンション形式を変更し、キャノピーやスパッツ形状を最適化して、空力特性を大幅に向上させたカタマラン型のTokai Challanger(2015)を開発した。太陽電池は、大会車両中唯一のパナソニック太陽電池HITモジュール変換効率23.2%を搭載。タイヤは、今回より大会スポンサーでもあるブリヂストン製に変更。

©Nuon Solar Team/Nuna8 ©University of Michigan Solar Car Team/Aurum

東海大学に破れた2009年まで大会4連覇で、前回優勝のオランダNuon Solar Teamは、2013年仕様のNuna7よりも、空力を9%、重量を30kg軽量化したNuna8で参戦。30kgの重量減には、集光器非搭載による重量減も含まれていると推測される。公開されているスペックによると、太陽電池は変換効率24%で、モーターはミツバ製。しかしながら、現時点で公開されている車体の写真は車体全体かつ側面からのものばかりで、Nuna7と比較してキャノピーがより後退したことと若干全高が低くなったことは確認できるがボディー下部の形状は不明。車体の太陽電池もダミーの写真しか公開されていない。(2015/10/11追記:テストラン時の写真より、全面Suncat製モジュールと見られる。)

2009年2011年連続で、東海大・Nuonに次ぐ3位入賞、前回は横風によるコースアウトで車体を損傷し、9位となったミシガン大学は、同チームとして13代目のソーラーカーとなる:Aurumを発表。例年のごとくすでに北米で本戦を想定した1500-3000km程度の公道上での疑似レース(モックレース)を今年は2回も終え、車体をオーストラリアへと発送している。

©Solar Team Twente/Red One ©Stanford Solar Car Project/Arctan

©Punch Powertrain Solar Team/Punch One ©Blue Sky Solar racing/Horizon

前大会にセンターキャノピー型で上位入賞をした、Solar Team Twente(オランダ/前回3位)、スタンフォード大学(アメリカ/回4位)、Punch Powertrain Solar Car Team(ベルギー/前回6位)、Blue Sky Solar Racing(カナダ/前回8位)も、2015年は挙ってカタマラン型を採用。

©Team Arrow/Arrow1-GT ©GAMF Hungary/MegaLux

前回完走上位勢では、オーストラリアのTeam Allow(前回7位)が前回と同じ車両を使用するため、唯一センターキャノピー型での参戦となる見込みだ。

ハンガリーのGAMF Hungarはガソリンエコランの経験があるチームで、ソーラーカーレースは今回初参戦だが、前回大会上位チームの車体を研究していて、発表されたMegaLuxの完成度も高く、本大会のダークホース的存在。

今大会の隠し球となるであろう、規定された寸法内でのレギュレーションを満たす充電方法や集光器については、現時点では各チームともほとんど明らかにしておらず、今後車検以降に、現地で判明することになる見込みだ。

その他に、今年のチャレンジャークラスには、チリや南アフリカのレースに参加していた中堅チームもエントリー。日本からはソーラーカーレース鈴鹿でおなじみの、金沢工大、名古屋工大、呉港高校が、エントリーしている。

 

より実用車に近いソーラーカーとして、二人以上の乗員で、レース中外部からの充電も可能なクラスとして2013年に初登場したクルーザークラスには、本大会12チームがエントリーしている。 クルーザークラスの勝敗は、走行時間、外部から供給したエネルギー、搭乗者を乗せた距離、実用性を考慮した評価点の合計ポイントで競われるが、走行時間の配点が前大会の5割強から7割に増え、前大会よりも、よりスピード指向が強くなった。

©工学院大学ソーラーカープロジェクト/OWL

初代クラス優勝のオランダSolar Team Eindhovenや、本クラス誕生のきっかけとなった独ボーフム大に日本から挑むのは、工学院大学ソーラーカープロジェクト。同プロジェクトは、前大会のチャレンジャークラスからクルーザークラスへ転向。チャレンジャークラスのカタマラン型のように、乗員を車輪と同じ列に配置し、中央部を大きくえぐり前方投影面積を抑え空力特性を重視して開発したOWLで、クラス優勝を目指す。

©Solar Team Eindhoven/Stella Lux
Photographer:Bart van Overbeeke
©UNSW Solar Racing Team - Sunswift/eVe
©HS Bochum SolarCar-Team/Sun Riser

過去の車体レギュレーションで作成したソーラーカーが出走可能なアドベンチャークラスのエントリーは4台。今年1月にアブダビで開催されたソーラーカーに東海大学の協力で作成したアブダビ石油資源大学も、このクラスに出走する。(2015/10/11追記:アブダビ石油資源大学は不出走に)

すでにヨーロッパ勢のチームを中心に、早いチームは現地に到着し、コースの下見や車体の整備を開始している。大会は、10月13日(火)から16日(金)までDarwin Showgroundsの Foskey Pavilion で公式車検が行われ、10月17日(土)、Hidden Valley Motor Sports Complex Berrimahのタイムアタックで、出走順が決定。10月18日(日)ダーウィン市街のState Squareから、ダーウィン時間8:30にアデレードを目指すレースがスタートする。

ZDPでは今回も、東海大学ソーラーカーチームへ同行し、現地からの速報を予定している。 (s)

関連リンク:
ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ大会公式サイトhttp://www.worldsolarchallenge.org/
MostDece - 更新を停止したsolarracing.orgにかわるWSC2015情報サイト。チャレンジクラス戦力分析が詳しい。
Scientific Gems - WSC2015各チームの紹介・リンク有り
WSC2015スペック一覧(Google Docs)

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